東京都立大学人文社会学部の木田直人先生をお招きし、4年生を対象に「問いを立てること」をテーマとした特別講義とワークショップを実施しました。
4年生は、これから5・6年生で取り組む「課題探究」に向けて、自分自身で問いを立て、研究を始めていきます。その第一歩として、そもそも「問いを立てる」とはどういうことなのか、なぜ私たちは問いを立てるのかについて考える機会を設けました。
「なぜ?」と問うことの意味
前半の講義では、「なぜ問うのか」「どのように問うのか」という二つのテーマを中心に、問いを立てることの価値や意味について、哲学的な視点を交えながらお話しいただきました。
木田先生は、英語の文法や身近な自然現象など、さまざまな具体例を取り上げながら、知識を得ることと、自ら考えることの違いを説明されました。
また、日常生活の中で感じる小さな疑問を大切にすることや、一つの問いに対して答えを見つけた後も、さらに「では、なぜ?(そうなるのか)」と問い続けることの重要性についてもお話しいただきました。一見すると些細な疑問であっても、問いを重ねることで、自然科学や歴史、社会など、異なる分野の学びへとつながっていくことを話してくださいました。
特に印象的だったのは、「問いは盗めない」という言葉です。AIなどを使えば、多くの情報や答えを簡単に得られる時代だからこそ、他者の問いや答えをそのまま受け取るのではなく、自分自身で疑問をもち、考え、納得する過程にこそ学ぶ意味があるというメッセージが伝えられました。
自分自身の問いを立てる
後半は、講義で学んだことを踏まえ、生徒自身が実際に問いを立てるワークショップを行いました。
生徒たちは、日常生活の中で感じる素朴な疑問や、普段当たり前だと思っていることを改めて見つめ直し、自分自身の問いを考えました。
実際に、生徒たちからは次のような問いが生まれました。
– 「なぜ体に良い食べ物はおいしくないのに、体によくないものをおいしく感じてしまうのか?」
– 「寝る前と眠りにつくときの境目はどこか?」
– 「人にはそれぞれ主観がある。では、完全に客観的な世界はあるのか?」
– 「本能と意志の境界線はどこか?」
– 「私たちは同じ人間という同じ『カラダ』で成り立っているのに、なぜそれぞれ考えることが違うのか?」
食生活や睡眠といった身近な現象に対する疑問から、人間の進化や多様性、さらには意識や世界の捉え方に関する哲学的な問いまで、さまざまな視点から問いが生まれました。こうした問いには、生徒一人ひとりの興味や関心、物事の見方が表れています。
ワークショップの後には、生徒たちから木田先生に向けて多くの質問が寄せられました。講義で学んだことや自分自身で問いを立てた経験を踏まえ、さらに疑問を深めようとする姿が見られました。
今回の講義とワークショップは、これから課題探究に取り組む4年生にとって、研究テーマを考える前に、問いをもつことそのものの意味を見つめ直す機会となりました。今後、生徒たちがそれぞれの興味や関心を出発点に、自分自身の問いを育て、探究を深めていくことを期待しています。
生徒の声
木田先生は、問いを立てることは自由や幸福のためであり、問いを立てないと損をするとお話しされました。これは、以前耳にした「吟味されない人生は生きる価値がない」という言葉にも通じると感じました。また、問いを次々につなげていくことは、幼い頃に多くの人がしていたことであり、人間が思考するというのは、大人になっても自分の中の問いを大切にし続けることなのではないかと思いました。


