TGUISSにおける進路指導計画
本校では生徒の夢の実現をサポートできるよう6年間を通してキャリア教育と進学指導を行っています。
生徒は教科の学習、「国際教養」、MYPなどを通して多面的に進路について考える機会があります。
(1)ジュニアインターンシップ
2年生で実施するジュニアインターンシップでは、様々な事業所で職場体験を行っています。今年度は、「学術・芸術」「教育」「社会貢献」「専門職」「医療・薬科」「福祉・公共」「サービス」の7つのカテゴリーから、30を越える事業所にご協力いただきました。目標は、「ジュニアインターンシップを通して、『働くこと』についてのイメージを養う」ことです。この活動を通して、将来のキャリアの可能性を広げ、自発的な進路選択に繋げることを目的としています。実習中の体験や写真、インタビューをもとに、2学期には体験したことを他者と共有し、ディスカッションを通して「働くこと」についての考えを深めています。
(2)1・2年生キャリアエデュケーション・ワークショップ
1・2学年では、進路指導の一環としてキャリアエデュケーション・ワークショップを行います。多様な職種・業種の方々に講師として来校いただき、お話を伺っております。例年15講座前後を開設し、生徒は2講座を受講します。仕事の内容だけでなく、働くことの意味や将来の自分のキャリア形成について、中学生の今だからできることを考えた貴重な時間となっています。
(3)4・5年校内大学模擬講義・国内大学説明会
本校を会場として、4年生と5年生を対象に、主として国内の大学で実際に行われている授業や研究活動を体験します。例年15大学前後から先生方をお招きし、それぞれの講座に分かれて受講しています。日頃の学習内容を発展させた先進的な研究成果や、より専門分野に深化した興味深い話題に触れることが目的です。模擬講義で大学での学びを体験することは、進学先の選択を考えるために役立つだけでなく、大学での研究内容や将来の職業選択にもかかわる重要な機会となっています。
また後期課程の学年では、個別の大学にお願いして大学説明会を開催しています。この説明会では、大学の求める学生像、出願型の種類や進学後の学生生活等、大学出願から入学後の学生生活の様子までを具体的に把握できるように、各大学が工夫してお話くださっています。
(4)海外大学説明会・海外大学出願支援
本校では、外部から講師・リクルーター、卒業生を招いて以下のような海外進学オリエンテーション・説明会を実施しています。これらの多くは高校2,3年生だけでなく、在校生全員を対象にしています。
以下は従来実施してきた主な説明会やセミナーです。対面開催が難しい場合には、オンライン形式などを含めて実施していく予定です。
- 香港科学技術大学アドミッションオフィサーを囲む会
- Education USA 米国大学進学説明会
- グルー・バンクロフト基金説明会
- SAT/ACTセミナー
- オーストラリア大学進学説明会(オーストラリア留学センター)
- 卒業生を囲む会(Wesleyan University, Northwestern University, Harvard University, Swarthmore College, Oxford University, University of Queensland, University College London, University of Toronto, Brown University, University of The Arts London ほか)
- San Francisco State University大学進学説明会
- DePauw University 説明会&ワークショップ
- イギリス大学出願説明会(卒業生による指導)
- Application EssayのWriting Workshop(卒業生による指導)
進学実績(合格者数)
- 2023年度(12回生127名卒業)
- 2022年度(11回生123名卒業)
- 2021年度(10回生133名卒業)
- 2020年度(9回生133名卒業)
- 2019年度 (8回生127名卒業)
- 2018年度 (7回生131名卒業)
- 2017年度 (6回生134名卒業)
- 2016年度 (5回生130名卒業)
- 2015年度 (4回生128名卒業)
卒業生の声
花山あかり(12回生)- 京都大学 法学部
大学に進学し、友人たちの中学校・高校生活の話を聞く度に、その時期をISSで過ごすことができて幸せだったことに気付かされます。ISSの一番の特徴は、先輩方も言及している通り、主体的に行動することで獲得できる学びの機会の多さだと思います。ですが、ISSの魅力はそこだけではなく、提供されているカリキュラムに沿って受動的に学ぶ際にも、発見できるものです。
私が一番印象に残っている授業が、3年生の教科横断型授業です。これは、水俣病について国語、数学、化学、公民、保健などの教科(科目)によって、各教科の持つ視点から授業が実施されたものです。このような複合的な学びは、一方通行の授業から知識として入ってくるのとは異なり、社会問題に対するアプローチと今自分たちが学んでいることがどのように繋がっているかを意識させられます。5、6年生になると課題研究を授業中に行うのですが、その際、自分の興味があるテーマに対して一方向からではなく、様々なアプローチを考えることができました。振り返ると、3年生の学習と課題研究は繋がっていたのだと思います。結果的に課題研究は最初の方向性とは異なるものになりましたが、その経験はとても有意義だったと感じています。
このように、提供されている授業を受けるだけで得られる学びには、今の私を形成する大きな基礎があったように思います。それに加えた形で、やってみたいことがあったら、それに飛び込むことができるのがISSです。ISSに入学したら、是非日々の学びを吸収しながら、やりたいことに挑戦してみてください。
齊藤丈永(12回生)- 東京大学 理科Ⅱ類
私はISSに入学する前から、将来研究者になることを目指していた。その夢を叶えるため、適切な環境を探していた中で、ISSがSSH指定校であり、1年次から課題研究に取り組めるというプログラムを知ったことが、ISSを選んだ大きな理由の一つだった。
実際にISSでの学生生活が始まると、課題研究は私にとって非常に魅力的な経験となった。1年次から5年次まで、私は水力発電、植物、数学といった異なる分野の研究に取り組み、広範な知識とスキルを身につけることができた。特に、自分から学び、自分の頭で考える力を育むことができた点が大きな成長だった。課題研究の問いの答えは教科書には載っていない。どのような先行研究を調べ、どのような実験を計画し、どのような考察を行うべきかを自分で考える必要があり、また、失敗した際にはそれを次にどう活かすかを反省し、改善する力が求められた。こうしたプロセスを通じて、自分の考える力や問題解決能力が鍛えられた。
そして、5年次の研究を6年次に全国のSSH指定校が集まる研究発表会で発表する機会を得た。この発表会で、全国から集まった高校生たちが各分野でレベルの高い研究を行っている様子を目の当たりにし、非常に刺激を受けた。同時に、自分も研究者になりたいという原点を再確認することができた。これまでの経験を振り返ると、ISSでの課題研究を通じて得られた力が、私の夢を現実に近づけてくれていることを実感する。
現在、私は大学でさらに学びを深めているが、これもすべてISSでの経験があったからこそ実現できたと感じている。ISSで得られる多くの機会を活かし、自分の夢に向かって努力する後輩たちを応援している。
下坂一悟(11回生)- 一橋大学 経済学部
ISSの入学式で、生徒会長が日本語と英語のみならず他の言語でも挨拶していたことに当時の自分は衝撃を受けました。今まで自分が生活してきた環境とは全く違う背景を持った同級生や廊下に掲示されているISSチャレンジの数々、活躍している先輩の姿をみて、いつか自分も肩を並べたいという気持ちになったのを今でも昨日のことのように思い出します。
思い返せば6年間、水泳部とスポーツフェスティバル実行委員会に所属し、学年を問わずたくさんの人と交流し、多くの刺激を受けました。授業では主体的な学びが求められ、数学の授業では1つの公式に何通りもの証明方法があることを議論し、生徒がお互いにアイデアを出すことで教科書に囚われない学びを得ることができました。外国語の授業では文法や長文読解といった一般的なことだけでなく、たくさんのディベートやプレゼンを通して英語を話す、使う機会がありました。自分はこの経験を通して英語を話すことに自信を持つことができたと思います。
このようなISSでの学び、生活を通して国際関係学に興味を持ちました。卒業後の進路として、世界基準で国際関係学や国際経済について学ぶことのできるグローバルリーダーズプログラムがある大学へ進学し、無事にそのプログラムに入り学びを深め、新たな仲間と切磋琢磨しています。「隣の人も異文化」という環境が体現されているのがまさにISSだと思います。ぜひISSで自分とは異なる経験や背景を持つ人と交流し刺激を受けて成長していってください。
小林遼聖(11回生)- 一橋大学 社会学部
大学生になり、ISSで何気なく経験していたことが、いかに貴重なものだったのかを日々思い知らされています。例えば、課題研究や各教科のレポート課題では、批判的な分析、効果的な構成、研究倫理のための様々なルールなど大学生活には欠かせない技術を身につけることができ、ISSの六年間と今の生活が地続きにつながっているような実感があります。また、世界史と生物、技術と数学など教科を横断した学習も、大学での学際的な学びの基盤となり、社会問題を多方向から捉えることができるようになりました。このような学習における技術面だけでなく、スクールフェスティバル(以下SCF)とスポーツフェスティバル(以下SPF)の両委員会での経験は、自分の価値観や行動と密に結びついています。SCF委員会で活動のために新しいやり方を考案し実行したこと、SPF委員会で最高学年として後輩を気にかけながら幅広く仕事をしたことなどは、大学での委員会活動だけでなく、人と関わって何かをするとき、いつも頭の中にあるほど貴重な経験です。このような活動において親身に相談に乗ってくださったり、優しく見守ってくれたりした先生方には頭が上がりません。
まだ明確な進路は定めていませんが、これらの経験を活かせるような、大規模な社会課題を解決できるような道に進みたいと考え、資格の勉強や日々の大覚生活に励んでいます。ISSでは、世界の見方を広げるような経験が学校生活の中にたくさん含まれています。また、さらなる人生の糧となり得るようなチャンスも至る所に転がっています。この学校での貴重な成長のチャンスを逃さぬよう、皆さんが選択し、これからの時間を過ごしていってほしいと願っています。
安丸佳苗(10回生)- 宮崎大学 医学部
ISSを卒業し、新しい環境に入って改めてISSが贅沢な環境であったことを強く実感します。
ISSでは、試験の得点に直結する学習はほとんどありません。例えば化学の授業でも、なぜAとBを合わせるとCが発生するのかを基本的に説明してはくれません。代わりに、それを確かめる実験のやり方を考えるヒントが与えられ、実験道具の使い方が与えられ、その実験結果は日常生活の中でどのような場面で関係するのかを考える機会が与えられます。数学の時間にも、授業内でやっていたのは問題を解いてその解説を聞くことではありませんでした。答えを出したい問いについて、まずはそれまでに身につけた知識をもとに分かっていることから導き出せるものを探し、公式の意味を理解するにはどのような証明の仕方があるのかを議論し合い、正解にたどり着く道がいくつもある問題を、ああでもないこうでもないと言いながらお互いのアイディアを吟味し合っていました。私はどちらの科目も得意な方ではなかったのでその話の内容についていくことに必死でしたが、それでも教科書に書いてあることの、それが教科書に載るまでの道のりを考えるような授業が大好きでした。
他にも、地理ではなぜそのような地理的な法則がうまれるのかを考え、歴史ではなぜその出来事は現代でそのような評価を受けているのかを考えます。「なぜ」を追及し、そのための探求力を磨く機会と時間がISSでは非常に豊富にあります。ぜひISSに入学して、その学びから得られる一生ものの財産を手にして下さい。
矢座孟之進(9回生)- Harvard University
ISSの入学式では「未来の扉を開いて、世界へと羽ばたけ」というメッセージが込められた日本語と英語のバイリンガル校歌に続いて、世界の市民としての行動を促す「We are the World」がオール・イングリッシュで歌われる。二曲続けて英語で世界へ羽ばたけと合唱された入学当初の僕は戸惑いつつも、これを一種の洗礼としてとりあえず言われた言葉をそっくりそのまま飲み込んだ。
しかし、中学1年生がいきなり世界と言われても地球儀サイズの想像力しか持ち合わせておらず、抽象的な上に規模があまりにも大きすぎる。先輩たちの活躍を早い段階から後輩に知ってもらうためだろうか、一年生の廊下には一年間の研究成果を発表するISSチャレンジのポスターがずらりと並んでいる。休み時間にこのポスターを見て自分なりに想像を膨らませたみたものの、思うように行動にうつせなかったのを思い出す。
転機は中学三年生のときにやってくる。ISSチャレンジの活動として友達と三人で原発のドキュメンタリー映画を撮り始める。この活動のきっかけとなった社会科の授業のプリントには、その日のテーマの上にいつも大きな文字で「Think Globally, Act locally (世界規模で考え、地域レベルで行動せよ)」と書いてあった。この言葉の通りに最初は学校の授業で流すことを目的に制作した映画も、気づけばアメリカ、フランス、ドイツ、デンマークと世界の映画祭で上映され、映画を通して海外の高校生たちと原発について議論をするにまで至った。
世界に貢献したいという強い気持ちがあっても、ひとたび立ちはだかる社会課題のスケールの大きさに無力感を感じると、そこから沈黙を破ることはそう簡単ではない。ISSで学んだのは、足元の小さな課題を解決していくことの重要性である。抽象概念としての世界も、先生や先輩の背中を追い続けることで、いつしか人々の課題解決の実例の集積としての質量を持った現実的かつ具体的な世界へと変わっていった。ISSで撮り始めた映画をきっかけに映画監督になる夢を追いかけて渡米をした僕にとって、入学式であの日聞いた歌詞の通り、ISSまさに世界への扉だった。