明治時代の教育者で看護師としても活躍し、現在の津田塾大学の創設に寄与した大山捨松氏。
その曾孫であり、捨松氏研究の第一人者である久野明子先生をお招きし、講演会を開催しました。

当日は、久野先生によるご講演の後、生徒たちはグループディスカッションを行い、自分たちの考えを発表しました。
その発表に対して、先生から丁寧なご講評をいただきました。

講演では、日本で初めて政府派遣の女子留学生として渡米し、米国・ヴァッサー大学(VassarCollege, NY 州)を卒業した捨松氏について、教科書や資料からは知ることのできない、貴重なお話を伺うことができました。
久野先生の長年の研究に基づくお話は、生徒たちの知的好奇心を刺激し、新たな視点を得る機会となりました。
当日は、1 年生から6年生までの計31名が参加し、それぞれが大きな学びを得るとともに、視野を広げ、将来の進路に向けた意欲を新たにしている様子が見られました。

以下は、久野先生から後日いただいたメッセージの抜粋です。

「我々の時代とは天と地ほど違う授業に参加でき、まさに目から鱗の経験をさせていただきました。捨松が生きていて、このような授業の内容、特に多くの女生徒たちの発表の様子を見たら、どれほど喜んだことでしょう。リベラルアーツ教育は、すでに貴校で実践されていると感じました。彼らが社会へと羽ばたいていくときも、あの日の授業のように自分自身を発揮できることを、心より願っています。」

 

次に、生徒の振り返りの一部を学年ごとに抜粋して紹介します。

1年生
・「女性に対しての見方が時代によって違うということに驚いた」
・「よい奥さん、母になるためという理由で留学したことに衝撃を受けた」

2年生
・「昔の女性の地位が想像以上に低かったことに驚いた」
・「諦めず自分ができることを精一杯やる姿勢に感動した」

3年生
・「大山捨松の使命感に刺激を受け、自分が留学する際にも使命感や責任感を持って臨みたい」
・「ヴァッサー大学の教義が自分の人生を考えるきっかけになった」

4年生
・「捨松さんの対応力・行動力にインスパイアされた」
・「現代へのつながりを理解し、自分が社会のために何ができるかを考えるきっかけになった」

5年生
・「女性留学の本当の目的が『家庭的な女性育成』だったということに衝撃と憤りを感じた」
・「今の男女格差を男性としてどう受け止めるべきかを深く考えた」

6年生
・「留学を通じて使命感や自国への恩返しの重要性に気づいた」
・「捨松さんのように生涯をかけて探究したいテーマを見つけたい」