スマートフォンの利用時間と勉強時間の関係(2年生 数学)

「スマートフォンの利用時間が長いと、勉強時間が少なくなる?」

2年生の数学では、毎日生徒が直面しているこの課題に改めて取り組んでいます。

1年生の学習では、この課題に対して、1日のスマートフォンの利用時間が「120分以下」と「120分越え」で層別してヒストグラムをかいて比較することで、「スマートフォンの利用時間が多いと定期的な勉強時間が少ない傾向がある」という結論を導き出しました。

2年生の授業ではこの解決を改めて振り返る中で次の2つの点が疑問に挙がり、これらについて考察していくことにしました。

  1. スマートフォンの利用時間を120分で切って層別して分析をしたことは適切であったか(例えば10分と120分を同じと捉えてよいのか)。
  2. 「定期的な勉強時間が少ない」ことの要因はもっとほかにもあるのではないか。

この疑問に答えるために、改めてクラスでアンケートを実施してデータを取りました。どのようなデータを取ったらよいかから自分たちで考え、このクラスでは「勉強時間」「塾の時間」「スマートフォンの利用時間」「習い事の時間」「部活の時間」「通学時間」の6つの項目について自分たちのデータを取ることにしました。

アンケートはMicrosoftのFormsを用いて取りました。今回の授業ではそのデータの分析をおこないました。

今回はまず1の

「スマートフォンの利用時間を120分で切って層別したことは適切か」

という課題にグループで取り組みました。アンケートの結果はすで共有されているので、

「データを用いて自由に考えてみよう」

と先生が投げかけると、生徒たちは1人1台のPCを用いてデータを開き、班のメンバーと議論しながら考えていました。

自分達が取ったデータをどのように扱えば、現状を浮き彫りにできるのか。

生徒たちは予想を立て、それを効果的に可視化するための方法を話し合い、発表しました。

各グループの発表では

「120分よりも150分で切って層別をしてヒストグラムをかいた方がよい」

「平均値や中央値を基準にして層別した方がよいのでは?」

「120分で一旦2つに分けたあと,さらにそれらの中でいくつかに分ける」

などといった意見が出されました。

グループが意見を発表し、それぞれの特徴を類別したところでこの授業は終わりました。次回以降の授業でこれらの意見からどのように課題を解決していくか、そしてその過程でどのような概念や手法が生み出されるのか、楽しみです。

本校の数学科ではどの単元でも探究的な課題を軸にして学んでいきますが、特に統計分野の学習では、身近な問題から出発することを意識しています。

自分たちの身の周りにあるリアルな問題を解決するために計画を立てて必要なデータを集め分析していく。その過程にある気づきから学びが深まり、新たな手法を獲得していく。そのような授業を目指しています。

この授業は内容としては2変量の関係を捉える散布図について学ぶのですが、「散布図はこのようなものですよ」と説明して「では使ってみよう」と学ぶのと、身の回りのリアルな問題を自分たちでデータを取って自由に分析する過程で散布図をつくり上げていくのでは、理解の質が変わってくるはずです。

実感を伴って、また活動を通して学んでいるからこそ、そこで得られた理解は本質的で、生徒たちの中に残るものになると考えています。