理科:探究の理科

目標と養いたい力

科学的探究を通して,調査や計画を行う,仮説を立てる,1つの説明だけに終わらず別の可能性を探る,等のことに関して,批判的で創造的な思考を養う。他者の考えを理解して尊重することを学び,倫理的に優れたやり方で理論を展開させるスキルを身につけ,地域および国際社会の一員としての責任感をさらに発展させる。科学と,モラル・倫理・文化・経済・政治・環境などといった事柄が,お互いに刺激し合い,頼り合う関係性を発見する。

単位数

学年 科目名 時数 探究の問い 主な学習内容

理科入門 4 見えないものを他者と共有するためには,どのような証拠・根拠を基に,どのような変換を行えばよいか? 光の反射・屈折/凸レンズの働き/音の性質/力の働き/力のつり合い
形式に合った最適な物事を選択するためには,どのような条件を考慮すればよいか? 身の回りの物質とその性質/気体の発生と性質/水溶液/状態変化と熱/物質の融点と沸点
より多くの事例からパターンを見いだすことで,私たちは世界をよりよく説明することができるか? 生物の観察/生物の分類/植物のからだ/動物のからだ
時間や空間を超えた関係性は,どのような証拠・根拠を基に語られるか? 火山活動/地震の伝わり方と地球内部の働き/地形・地層・岩石の観察/地層の重なり/自然の恵みと火山災害・地震災害
2 物理入門 2 感覚と理論の関係性は、日常生活に影響を与えるのか? 電流と回路/電流と磁界/電流の正体
異なる形式を持つもの同士に関係性を見いだすことに意味はあるのか? 物体の運動/仕事とエネルギー
生物入門 2 生物とは何か? 生命を維持するはたらき/動物の生活/生物の進化/遺伝/自然界のつり合い
化学入門 2 50+50=96? 粒子のモデル
もしも原子が見えたなら? 化学変化と原子・分子、物質の分解
トリチウム水、どうする? 水溶液とイオン
商品開発に求められるものは? 化学変化
化学(科学)を扱うためには? 化学(科学)が戦争に利用された? 化学変化と電池
地学入門 2 天気はなぜ変化するのか? 気象観測,大気中の水蒸気の変化, 前線の通過と天気の変化,日本の気象
宇宙の中で地球はどのような存在なのだろうか? 天体の1日の動き,天体の1年の動き,月と惑星の運動,太陽系と銀河
SS物理基礎 2 運動を表現するにはどうすればよいか? 運動の表し方,力,運動の法則
エネルギーとは? 力学的エネルギー,熱,エネルギーの保存
波は日常生活にどのように関連しているのだろうか? 波,音,波の独立性,重ね合わせの原理,反射
SS生物基礎 2 バイオテクノロジーの原理を用いて新たな商品をつくるとしたら? 生物と遺伝子
体内ではどのようなコミュニケーションが行われているか 生物の体内環境の維持
環境問題を生物学でどのように説明することができるだろうか? 生物の多様性と生態系
科学と人間生活IM 2 科学で身近な課題を解決するには? 画像解析ソフトを用いた生活科学の探究、科学的手法による課題解決
SS物理
(2023年度より5,6学年で分割履修)
2 丈夫な橋を構築するにはどうしたらよいか? 剛体,力のモーメント
保存則とは何か? 運動量,力積
見方を変えることは何をもたらすのか? 円運動,慣性力,万有引力
マクロな現象は、ミクロなモデルとどのようにつながるのか? 温度,熱
SS化学基礎 2 元素の発見は何をもたらしたか? 物質の探究、物質の構成粒子
立証するために必要な要素は? 物質と化学結合
桁違いを実感するには? 物質量と化学反応式
生活の中の化学の利用を探そう 酸と塩基
定義を変える必要がある時とは? 酸化還元反応
SS地学基礎 2 大陸を動かす原動力は何か? 地球の構造,プレートの運動,地震と地殻変動,火山
生命はなぜ生まれ,どこに向かっているのか? 地層の形成,古生物の変遷と地球環境
大気と海水の運動はなぜ起こっているのか? 大気の構造,地球の熱収支,大気の大循環,海水の運動
地球温暖化は止められるか? 環境と人間,地球環境問題,日本の自然災害
宇宙はどのようにして誕生したのか? 太陽系の天体,太陽の活動,恒星の一生,恒星の明るさ,宇宙の構造,宇宙の誕生
サイエンスIM A 2 ネットワーク分析の手法とは何か?自然現象とどのようにつながっているのか? 生命とは,細胞,分子生物学,タンパク質の構造と機能,タンパク質工学
SS物理

(2023年度より5,6学年で分割履修)

3 丈夫な橋を構築するにはどうしたらよいか? 剛体,力のモーメント
保存則とは何か? 運動量,力積
見方を変えることは何をもたらすのか? 円運動,慣性力,万有引力
マクロな現象は、ミクロなモデルとどのようにつながるのか? 温度,熱
現象を捉え、予測するために、どのようにモデルを作り、用いるのだろうか?
場とは何か? 電磁気
新たな見方・考え方はどのように形作られていくのだろうか? 原子
SS化学 5 鉄はなぜ固い? 状態変化、気体の性質、固体の構造、溶液
熱は物質か? 化学反応と熱・光エネルギー、電気エネルギー
化学の見方で歴史を見ると? 反応の速さとしくみ、化学平衡
化学物質の処理に必要なことは? 無機物質
小さな違いが生み出す大きな影響 有機化合物
身の回りの化学製品をつくれるか 高分子化合物
SS生物 5 進化とはどのような現象か? 生物の進化
画像からタンパク質の特徴を読み取るには? 生命現象と物質
バイオテクノロジーの利用と社会的受容の問題点とは? 遺伝情報の発現と発生
生命はどのようにして外部とコミュニケーションをとるか 生物の環境応答
人口問題は生物学でどのように説明できるか? 生態と環境
SS地学 5 地球の内部はどうなっているのか? 地球の形と重力・地磁気,地球の内部
山はどうしてできるのか? プレートテクトニクス,地震と火山,変成作用と造山運動
地球の環境はなぜ安定しているのか? 大気の構造と運動,海洋と海水の運動、大気と海洋の相互作用
地球にはなぜクレーターが少ないのか? 地表の変化,地層の観察
地球の環境はどのようにして作り上げられたのか? 地球環境の変遷,日本列島の成り立ち
宇宙の果てはどうなっているのか? 太陽系,恒星の世界,宇宙と銀河
物理基礎演習 1 私たちと物理の関わり 物体の運動とエネルギー,様々な物理現象とエネルギーの利用
化学基礎演習 1 私たちと化学の関わり 物質の構成,物質と化学結合,物質の変化
生物基礎演習 1 私たちと生物の関わり 観察の手法、細胞、遺伝、免疫、生態系
地学基礎演習 1 私たちと地学の関わり 惑星としての地球,活動する地球,移り変わる地球,大気と海洋,地球の環境,宇宙の構成
サイエンスIM B 2 自然現象をモデルで表すと何が見えてくるのか? タンパク質,ウィルス,変異

学習内容 (具体例・生徒の作品・活動の様子)

本校の理科では,物理・化学・生物・地学の専門性の高い指導者が授業を行います。1年生では,物理・化学・生物・地学の4分野をまんべんなく学習し,6年間のまなびの基礎固めを行います。2年生からは ,物理・化学・生物・地学に分かれて,学習を進めていきます。 

授業では,実社会の課題や社会における科学の役割などについて扱っていきます。科学的に探究することを重視し,観察,実験や表現活動を多く行います。自然現象の観察から課題を見いだし,仮説を設定し,検証のための実験デザインを行い,実際に実験をして得たデータを分析し,表現する,といった一連の探究の過程を経験します。科学だけでは解決できない課題について,科学にできること,できないことなどを考えることを通して,実社会で生きる力を身に付けます。

さらに,3年生では英語で科学に触れるプレ・イマージョン授業,4年生以上では英語で科学を学ぶイマージョン授業を実施しています。 

また,国際教養の理数探究の一環として,1年生では富士でフィールド調査を行っています。現代的なテーマについて,教科の枠組みを超えた学びを行います。さらに,4年生では校外の研究施設等で最先端の研究に触れるなど,実際の現場でしかできない学びも行っています。 

物理・化学・生物・地学の4分野を必修としており,理学系,工学系,医学系,薬学系,農学系などはもちろんのこと,広く科学について学ぶことで,多様な進路に対応できる充実したカリキュラムを組んでいます。 

1年生

理科入門(生物分野):葉っぱの研究

葉に関する問いについて,その問いに対するアプローチを自分たちで考え,探究を行います。自然の多いISSで,校内の植物に向き合います 

理科入門(生物分野):妄想ポケモン学

動物の分類の学習を生かして,キャラクターデザインにみられる実際の動物との類似点を根拠として,そのキャラクターの生態を「妄想」します。

理科×美術×音楽×学校図書館 ボッケモン図鑑の作成

理科で学習する動物のからだのつくりを生かして,美術でキャラクターデザインを行います。さらに,理科で学習する動物の鳴き声や音の内容を生かして,音楽で自作のキャラクターに鳴き声をつけます。学習後に,キャラクター「ボッケモン」たちは学校図書館に「出現」しました。

2年生

物理入門:スポーツは科学で解決できるか?

年物理入門では、物体の運動の学習にあたって、「スポーツは科学で解決できるか?」の問いに向き合った。「走り幅跳びにおいて、助走距離を延ばすと飛距離も伸びるか?」「徒競走の一番良いスタートの角度とは?」など、グループで具体的な研究課題を設定し、実験デザイン、測定を通して、研究発表した。

3年生

地学入門:太陽の1日の動き
透明半球を用いて、太陽の1日の動きを季節ごとに調べた。夏には高かった南中高度が、秋から冬になるにしたがって低くなっていくことを確認し、「なぜそのようになるのか?」を議論した。さらに南中高度を詳しく測定することにより、地軸が地球の公転軌道面の垂線に対して23.4°傾いていることを確認した。 

4年生

SS生物基礎:ISSの植生の調査

コドラート法を用いて、校内の植生調査を行った。特定の樹木とその周辺の非生物的環境要因と植物の関係性について、量的データを用いて調査した。生徒たちは、照度と植物の高さの関係や、土壌硬度と植物の高さの関係等に着目し、協力して集めたデータを分析し、考察を行った。

5年生

SS化学基礎:滴定操作を利用して身近な疑問を探究

酸塩基滴定、酸化還元滴定、沈殿滴定などの滴定操作を利用して、それぞれがテーマを設定して探究する。「ホンノビス貝の適切な下処理方法は?(処理方法の違いによる塩分濃度の測定)」「レモンケーキはレモンよりも酸っぱくないか?(加熱によるクエン酸濃度の変化の測定)」「ビタミンCを最も多くとれるお茶の抽出方法は?(お茶の種類、お湯の温度、抽出時間によるビタミンC濃度の測定)」など多様なテーマで実験した。

6年生

SS物理:エッグドロップ選手権
運動量、力積などの力学の知識を生かして、高いところから卵を落としても割れないような、卵のプロテクターを作成する。実際にプロテクターをつけて卵を落とし、その結果を踏まえ、自分たちの制作物について振り返り、考察を行う。



 

4年生

サイエンスフィールドワーク4コースに分かれて研究施設等を見学することで,科学の知識や技術が,最先端の研究でどのように活かされているのかを知り,それに関わる関心や探究心を高める。いくつかの施設では観察,実験などを行い,科学的に探究する能力と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深める。